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大阪地方裁判所 昭和54年(ワ)7852号 判決

原告

鈴木茂太郎

ほか一名

被告

谷口誠

主文

一  被告は、各原告に対し、各金二一二万三一〇九円宛および各内金一九二万三一〇九円宛に対する昭和五三年一〇月二八日から各支払済まで各年五分の割合による金員を、各支払え。

二  各原告のその余の各請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用中、補助参加によりて生じたものはこれを二分し、その一を原告らの、その余を被告補助参加人の各負担とし、残余のものはこれを二分し、その一を原告らの、その余を被告の各負担とする。

四  この判決は、原告らの勝訴の部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、各原告に対し、各金四六八万〇四八三円宛および各内金四二八万〇四八三円宛に対する昭和五三年一〇月二八日から各支払済まで各年五分の割合による金員を、各支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  各原告の各請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二請求原因

一  事故の発生

1  日時 昭和五三年一〇月二八日午後一〇時頃、天候雨

2  場所 門真市大字下島頭二四五番地の一先道路(市道、島頭太子田線)(以下、本件道路という。)上

3  加害車 普通乗用自動車(大阪五七む第六五八号)

右運転者 被告

右所有者 被告

4  被害者 訴外亡鈴木貴子(歩行中。なお、本件事故当時、満二三歳。)

5  態様 加害車が、訴外亡貴子を、後方から跳ね飛ばした。

6  結果 頸部高度脱臼骨折のため、同日午後一〇時二五分頃、死亡。

二  責任原因(運行供用者責任、自賠法三条)

被告は、加害車を所有し、自己のために運行の用に供していた。

三  損害

1  逸失利益―合計、金一九〇六万二七六六円

(1) 計算

訴外亡貴子は、本件事故当時、満二三歳の女子として、昭和五三年度の年齢別平均給与額(月額、金一三万八六〇〇円)相当程度の労働能力を有し、あと四四年間就労可能であつた。そこで生活費の控除割合を五割とした上、新ホフマン式により中間利息を控除すると、次の算式のとおり、金一九〇六万二七六六円(円未満切捨)となる。

算式一三万八六〇〇×一二×〇・五×二二・九二三≒一九〇六万二七六六

(2) 原告らによる権利の承継

原告らは、訴外亡貴子の両親として、訴外亡貴子に帰属した右1(1)の損害賠償請求権を法定相続分(各二分の一宛)に従い、各相続した。

2  慰藉料―合計、金一二〇〇万円

訴外亡貴子(適齢期の独身女性)の分として、金八〇〇万円、原告ら(前記のとおり、訴外亡貴子の両親)の分として、各金二〇〇万円宛が、各相当である。

3  弁護士費用―合計、金八〇万円

各原告につき、各金四〇万円宛。

4  合計―金三一八六万二七六六円

四  損害の填補

1  原告らは、自賠責保険より、金一九五〇万一八〇〇円を、被告より、金三〇〇万円を、各受領した。

2  残損害額―合計、金九三六万〇九六六円、各原告につき、各金四六八万〇四八三円宛。

五  本訴請求

よつて、請求の趣旨記載のとおりの判決(但し、遅延損害金は、弁護士費用を除外した各内金に対し、本件不法行為の日である昭和五三年一〇月二八日から支払済まで民法所定年五分の割合による。)を、求める。

第三請求原因に対する認否

請求原因一、二項、同四項1の各事実を認め、その余の各事実は不知。

第四被告および被告補助参加人の各主張

一  過失相殺(被告および被告補助参加人共)

1  訴外亡貴子としては、本件事故当時本件道路上には歩道が存しなかつたのであるから、歩行者として、道路の右側端を通行すべき義務が存したにも拘らず、これに違反し、漫然本件道路の左側の車線のほゞ中央部分を歩行していた過失により、後方より走行して来た加害車に気付くことが出来ず、本件事故に遭遇するに至つたものであつて、本件事故の発生に対し、訴外亡貴子の右記過失が競合していることは、明らかである。よつて、相応の過失相殺を主張する。

2  なお、過失相殺にあたつては、自賠責保険より、既に、原告らに対し、支払済のため、本訴請求外となつている、既払治療関係費、金三万七二〇〇円、既払葬儀費、金五〇万円、合計、金五三万七二〇〇円を、総損害額に算入されたい。

二  逸失利益について(被告補助参加人のみ)

原告らは、訴外亡貴子の逸失利益を、平均賃金を基準に算定の上、請求しているが、相当ではない。訴外亡貴子の収入は、本件事故当時の給与を基準に算定すべきものであるところ、本件事故当時、訴外亡貴子は、アルバイト勤務をしていたにすぎない。仮に、アルバイト勤務もせずに専ら花嫁修業中であつたというのであれば、その収入は零とすべき筋合である。いずれにせよ、本件事故より一年以上も前の就職先の給与を資料にして、平均賃金相当の逸失利益を請求する、原告らの主張は、失当である。

第五右第四の主張に対する原告らの答弁ないし反論

一  過失相殺の主張に対し

1  本件事故の具体的状況等に照らすと、過失相殺が許されるべき事案ではない。すなわち、本件道路は、制限速度が毎時三〇キロメートル、南行(加害車進行方向)車線の幅員が三・三メートル、北行車線の幅員が四・七メートルの道路で、かつ同道路上各所には、本件事故当時の相当量の降雨により、水たまりが生じていたのみならず、街灯も全くなく暗かつたところ、被告は、本件事故後二五分を経過した時点で測定しても、呼気一リツトルにつき〇・五ミリグラムの酒気を帯び、正常な運転ができないおそれが存したのに、運転を継続し、さらに、格別の理由もないのに、毎時五〇キロメートルの速度で、本件事故現場の手前約八二・八メートルの地点から前車を追越し、追越し終了後も、後方車両に気をとられて前方不注視となり、訴外亡貴子に全く気付かず、本件事故を発生させるに至つた。然るに、被告は、意識すらなく、助手席同乗者より何度も注意をされ、本件事故現場より三〇〇メートルも進行した上ようやく停止した。一方、訴外亡貴子は、衝突地点より約三二メートルも前方に投げ出された上、即死するに至つた。

なお、訴外亡貴子は、本件道路の左側を傘をさして南方向(すなわち、加害車に対して後向き)に歩行していた模様であるが、折からの降雨により、同道路の左側端には大きな水たまりが生じていたため、左側端部を歩行しえなかつた(左側端部より一・四メートルの所を歩行していた。因に南行車線の幅員は、三・三メートル)もので、若干中央寄りに歩行していたにせよ、本件事故当時の道路事情からみて、責められるようなものではない。

以上の次第であるから、本件事故につき、過失相殺をなすのは、相当ではない。

2  前記第四、一項2(本訴請求外の治療関係費等が支払済の点)の事実を認める。

二  前記第四、二項の主張に対し

訴外亡貴子は、本件事故当時、アルバイト勤務をしていたため、収入が少なかつたものの、昭和五一年五月一一日から同年末まで、同五二年一月から同年九月二〇日までは、いずれも正規の勤務をし、当該年度の年齢別平均給与額相当の収入を得ていたものであつて、右収入の少なさは、花嫁修業の意味もあつて正規の勤務をやめ、一時家事見習をしていたが、しばらくの間ということで、アルバイト勤務をなすに至つたという特殊的、一時的事情に基くものにすぎない。以上の次第であるから、訴外亡貴子に、平均給与額相当の労働能力が存したことは、明らかである。

第六証拠〔略〕

理由

第一事故の発生および責任原因

(一)  請求原因一、二項の各事実は、いずれも当事者間に争いがない。そうすると、被告は、自賠法三条により、本件事故に基く各原告の各損害を賠償する責任がある。

(二)  なお、成立に争いのない甲第四、第六号証、第一〇ないし第一七号証(但し、第一二、第一七号証については、後記採用しない部分を除く。)、第五、第九号証の各一、二を総合すると、本件事故の具体的態様等は、次のとおりであると認められる。すなわち、本件道路は、市街地に存する、センターラインにより南行(加害車の進行方向)車線(幅員、約三・三メートル)と北行(加害車の対向方向)車線(幅員、約四・七メートル)に区分された、歩車道の区分のない(但し、衝突地点の手前=北方=約三〇メートルの付近より、さらに手前=北方=約四〇メートルの間には、北行車線上にのみガードレールが存し、右記ガードレールは、北行車線を、幅員約一・七メートルの歩行者専用部分=右記ガードレールのさらに右(西)側に該る。=と幅員約三メートルの車両専用部分とに、区分している。)、アスフアルト舗装された、平坦な、道路で、加害車の進行方向(南方)および左右(東西)に対する見通しは良好であり、法定制限速度は時速三〇キロメートルで、本件事故当時は、ワイパーなしでは走行できない程度の降雨が存し、道路面は湿潤しており、また、本件事故現場付近には照明設備がなく、暗かつた。さて、被告は、衝突地点の手前(北方)約七三・四メートルの地点を時速約三〇キロメートルで走行中、前(南)方約九・四メートルの所に先行車を発見、これを追越すべく時速約五〇キロメートルに加速し、右(西)転把の上、対向車線上に出て、先行車を追越し、次いで、衝突地点の手前(北方)約三二・七メートルの地点で、進行車線上に戻るべく左(東)転把し、さらに右記地点から約二四・四メートル前進したが、その間、加害車の左後方より走行して来た被追越車の動静を左バツクミラーで注視し、右記の約二四・四メートルの前進を終了した辺りで、加害車の車幅の殆んどを進行車線内に入れるに至り、この時はじめて、左後方車(被追越車)の動静に対する注視をやめ、ふと前方に目をやつたところ、前方約八・三メートルの地点に、傘をさして南方に向つて歩行中の(したがつて、加害車に対して後姿の状態にある)訴外亡貴子を、南行車線の左(東)側端より約一・四メートルの所(南行車線の幅員=約三・三メートル=の二分の一は、約一・六五メートルなので、その「ほゞ中央付近」に該る。)に発見、直ちに右転把したが間に合わず、加害車左前部を、訴外亡貴子の後方に衝突させ、訴外亡貴子を衝突地点の前方約三二メートルの地点にまで、跳ね飛ばすに至つた。しかして、被告は、助手席の同乗者より、停車を促され、衝突地点より約三〇〇メートルも進行した上、ようやく停車した。なお、訴外亡貴子は、南行車線の左側端付近には折からの降雨により水たまりが生じていたため、これを回避するため、前記の「ほゞ中央付近」を歩行していた模様である。ところで、被告は、本件事故の当日の午後七時ないし七時三〇分頃から午後九時頃までの間、友人と共に日本酒等を飲用し、本件事故後約二五分の時点で、呼気一リツトルにつき〇・五ミリグラムのアルコール濃度を帯有しており、酒に酔い正常な運転ができない状態にあつた。

以上の事実を認めることができ、これに反するかのような甲第一二、第一七号証の各一部は、前掲証拠と対比し、いずれも採用せず、他に右認定に反する証拠はない。

第二損害

1  逸失利益―各金九一八万五八一九円宛

(1)  計算

年収および就労可能年数―成立に争いのない甲第七、第八、第一三号証、乙第一、第二号証、原告鈴木茂太郎本人尋問の結果および弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実を認めることができる。すなわち、訴外亡貴子は、昭和五一年三月大手前短大を卒業後、同年五月一一日から同五二年九月二〇日までは、株式会社三幸商会に正規に勤務していたものの、夜遅くまで仕事があつたり、さらに、結婚準備がてら家事手伝等をする都合等もあつたりして、同商会を退職(但し、同五二年一〇月から一二月までは、同商会に頼まれ、アルバイトの形で、勤務を継続した。)し、家事手伝等をしていたが、本件事故当時は、近隣の人の勧めにより、関西航測株式会社に、アルバイトとして、再び勤務(但し、勤務時間は、午前九時から午後五時三〇分までで、実働時間は、七時間三〇分であつた。なお、右時間以外は、右の家事手伝等を継続していたものと推認される。)していた。しかして、三幸商会の時の賃金は、昭和五一年分が月額、約金九万一五九〇円(甲第七号証の七一万七四九〇÷二三五×三〇)(但し、計算段階毎に円未満切捨)(因に、昭和五一年度の満二一歳女子の賃金センサスによる収入額は、月額、金一一万五九〇〇円である。)、同五二年分(但し、アルバイト分は除外)が月額、約金一一万九四〇〇円(甲第八号証の一〇四万六八八六÷二六三×三〇)(但し、計算段階毎に円未満切捨)(因に、昭和五二年度の満二二歳女子の賃金センサスによる収入額は、月額、約金一二万六二三三円=円未満切捨=である。)であり、関西航測株式会社の時のそれは、時間給、金五〇〇円(したがつて、実働時間の七時間三〇分を一杯にかつ月に二五日間の割合で勤務したとすると、月額は、金九万三七五〇円となる。)(因に、本件事故当時である昭和五三年度の満二三歳女子の賃金センサスによる収入額は、月額、金一三万三五七五円である。)であつた。

以上の事実を認めることができ、これに反する程の証拠はない。

そこで、右の認定事実のもとに、以下に考えてみる。

まず、(一)有職者の収入額の認定は、原則として、当該事故当時のそれを基準にすべきものであるが、本件の如く、給与所得とアルバイト収入とが、交互に存し、収入に時間的バラツキの存する場合には、少くとも一年間の収入の平均値を採るべきであり、かつ、(二)本件の如く、当該事故当時に、アルバイト勤務のほかに、家事労働をも併せしていた場合には、右家事労働分をも加味して、その収入額を決定すべきであり、さらに、(三)本件の如き、未婚女性の場合には、結婚後は主婦に専業するものと推測して、当該事故当時の賃金センサスによる収入額を、結婚後から満六七歳までの間にわたり、取得するものとし、これを肯認すべきである、と各解するのが相当である。

そこで、右(一)ないし(三)に照らして、前記認定事実につき考えてみると、訴外亡貴子の、本件事故当時以前一年間における収入は、昭和五二年一〇月から一二月までの間において、月額、約金一一万九四〇〇円(尤も、厳密にいえば、右の間は、三幸商会に正規に勤務していたわけではなく、アルバイトの形で勤務を継続していたものであるが、同商会から頼まれて勤務を継続していた点に照らすと、アルバイト勤務時の収入も、正規勤務時のそれと大差がなかつたものと推認される。)、本件事故当時において、月額、金九万三七五〇円であつて、これを平均すると、月額、約金一〇万六五七五円となり、本件事故当時である昭和五三年度の満二三歳女子の賃金センサスによる収入額(月額、金一三万三五七五円)の約八〇%に相当するところ、訴外亡貴子は、右のほかに、本件事故当時、家事労働をもしていたのであるから、結局、訴外亡貴子の収入額(労働能力)は、右昭和五三年度の満二三歳女子の賃金センサスによる収入額と同程度である、と考えるのが相当であり、また、訴外亡貴子は、未婚女性であるが、結婚準備中であつたのであるから、結婚後は主婦に専念するものと推測してよく、そうすると、結婚後も前記賃金センサスによる収入額が継続するものと考えられるから、つまるところ、訴外亡貴子は、本件事故当時の賃金センサスによる収入額(年収、金一六〇万二九〇〇円)を、満二三歳から満六七歳までの四四年間にわたつて、喪失するに至つたもの、というべきである、と考える。ホフマン係数(小数点第五位以下切捨)―二二―九二三〇生活費の控除割合―五〇%とするのが相当である、と考える。

算式一六〇万二九〇〇×〇・五×二二・九二三〇≒一八三七万一六三八(小数点以下切捨)

(2)  原告らの相続した分―請求原因三項1(2)の事実は、当事者間に争いがない。したがつて、各原告は、右逸失利益の各二分の一宛を各相続したことになり、その金額は、各金九一八万五八一九円宛となる。

2  慰藉料―各金五〇〇万円宛

前記認定の、本件事故の態様、訴外亡貴子の年齢等、訴外亡貴子と原告らとの身分関係、その他諸般の事情を総合考慮すると、総額として、金一〇〇〇万円、各原告の分として、各金五〇〇万円宛(但し、訴外亡貴子の分を金六〇〇万円とし、原告らが各金三〇〇万円宛を各相続したものとみる。)とするのが、相当である、と考える。

3  自賠責保険より、原告らに対し、支払済のため本訴請求外となつている、既払治療関係費が、金三万七二〇〇円、既払葬儀費が、金五〇万円、その合計が、金五三万七二〇〇円であることは、当事者間に争いがない。これを、各原告につき、法定相続分(各二分の一宛)に従い、各金二六万八六〇〇円宛とする。

4  総損害額―各金一四四五万四四一九円宛

第三過失相殺

前記第一で認定した事実によれば、本件事故は、主として、被告の、飲酒の影響下における、制限速度違反および前方不注視の過失に基いて発生したものというべきであるが、他面において、訴外亡貴子にも、折からの降雨による水たまりが存したとはいえ、本件道路のセンターラインより左側、しかもその左側端より約一・四メートルも道路中央寄りの所を、夜間でかつ付近に照明設備も存しなかつたのに、傘をさしたまゝ、歩行していた過失が存したことは否定し難く{なお、前記第一の事実によれば、衝突地点の手前約三〇メートルの付近より、さらに手前約四〇メートルの間には、本件道路の右側にガードレールが存し、右記ガードレールのさらに右(西)側は、幅員約一・七メートルの歩行者専用部分になつていた、というのであるから、訴外亡貴子にとつては、むしろ、本件道路の右側の方が通行に便宜であつたのではないかと推測されるのみならず、前記第一の事実を総合勘案しても、道交法一〇条一項但書にいう「道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないとき」に該当するような事情は、いまだ、存しないものというべき(また、他に、右事情を認めるに足る証拠は、存しない。)である、と考える。}、かつ、本件事故の発生に対し、訴外亡貴子の右記過失も競合していることは明らかであるから、被告の前記過失の態様その他諸般の事情も考慮の上、各原告の各総損害額の七%を減ずるのを相当と考える。そうすると、次の算式のとおり、各金一三四四万二六〇九円宛となる。

算式一四四五万四四一九×〇・九三≒一三四四万二六〇九

(小数点以下切捨)

第四損害の填補

請求原因四項1の事実は、原告らの自認するとこるであり、被告及び被告補助参加人の各主張一項2の事実は、当事者間に争いがない。そこで、各原告の過失相殺後の各損害額(前記第三に記載のとおり)から、右填補分(但し、各原告につき、法定相続分の各二分の一宛の割合で計算する。そうすると、各金一一五一万九五〇〇円宛となる。)を差し引くと、各原告の各残損害額は、各金一九二万三一〇九円宛となる。

第五弁護士費用―各金二〇万円宛

本件事案の内容、審理経過、認容額等に照らすと、各原告につき、各金二〇万円宛とするのが、相当である。

第六結語

よつて、各原告の本訴各請求は、いずれも主文の限度で理由がある(但し、遅延損害金は、弁護士費用を除外した各内金に対し、本件不法行為の日である昭和五三年一〇月二八日から支払済まで民法所定年五分の割合による。)から正当として認容し、各原告のその余の各請求はいずれも理由がないから失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条、九四条、仮執行の宣言につき同法一九六条を各適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 柳澤昇)

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